

シフォンケーキの腰折れとは?
シフォンケーキを型から出した時、シフォンケーキの側面部分が折れ曲がった状態のことです。
なぜこのような『腰折れ』が起こるのか。
主な原因は6つ
①メレンゲが弱い
②最終生地の混ぜ不足
③焼き不足/オーブンの温度が低い
④水分過多
⑤型出しが早い(ちゃんと冷めていなかった)
⑥レシピや卵黄生地の乳化不足など
シフォンケーキ腰折れの原因 その1:メレンゲが弱い
シフォンケーキ作りは『メレンゲが命』とよく言われますが、ここでもメレンゲの状態が大きく関わってきます。
一言でいうと、『メレンゲが緩い』場合に腰折れが起こります。
しかし、『いやいやそんな事はない!しっかり気をつけて、艶のある良い感じのメレンゲを作ったよ(T_T)?』という場合。
その場合に考えられるのは
◎卵白の水分量が多かった(夏場の卵など)
◎メレンゲ作りに使っている砂糖の種類の影響(茶色い砂糖や水分量の多い砂糖など)
の2つがあるのではないかと私は思います。
まず卵白の水分量について
こればかりは素材そのものの問題であり、鶏さんも生きているしどうしても気候に左右されるので対応策を講じる必要があります。
その対応策は4つ!
①乾燥卵白を使う
②コーンスターチを使う
③卵白を氷水で冷やしながら泡立てる(面倒と思いながらも、試してみると違いに驚きます!)
④暑い部屋でメレンゲ作りをしない←(私がよくやりがちです・・・・)
まず乾燥卵白の役割ですが、なぜ夏場の卵白に乾燥卵白を使った方が良いのでしょう?
夏場は鶏も喉が乾き水分を沢山摂ります。その影響で卵の水分量も高くなり、更に暑さの為に鶏がストレスを受け、そのストレスから卵白のタンパク質量が少なくなるそうです。
↓(日本卵業協会のQ&Aは、卵についてとても詳しく書いてあり面白いです)↓
夏場は暑いために、鶏もストレスを受けます。ストレスを受けると卵白の固形分
量(タンパク質量)が少なくなります。さらに、夏場は卵も高温にさらされる時間が
長くなり、タンパク中の炭酸ガスが早く抜けることから、卵白のpHがすぐに高くなり
ます。そうなると、濃厚卵白の組織を作っているオボムチンの重合が壊れて、水様化
します。これらの理由で夏場の卵白は水っぽく見えると考えられます。
~日本卵業協会ホームページより引用~
卵白は①pHが中性に近く②タンパク質濃度が高いと安定性の高いメレンゲが作れると言われていますが、夏場の卵は先に述べた理由からタンパク質濃度が低い状態となっています。
ここで出番となるのが、乾燥卵白です。
乾燥卵白を入れることで、卵白のタンパク質濃度が高まり普段通りの安定したメレンゲが作れます。
(因みに、卵は古くなるにつれpHがアルカリ性に傾くそうです。その場合はレモン汁(酸性)を使ってpHを中性に近づける事で安定性を高めます)
乾燥卵白がない方は、コーンスターチを使うのも手です。
乾燥卵白と違って、コーンスターチは普通のスーパーでも手軽に入手でき、値段も100円ちょっとと割安です(シフォンケーキ作り以外に、唐揚げなどお料理にも使えます)
コーンスターチは、卵白の水分を吸着する事でメレンゲの粘度を上げ安定性を高める作用があります。
因みに・・なぜコーンスターチなのか?もっと身近な片栗粉ではだめなのか?
その理由としては、コーンスターチのデンプン粒の比率や糊化の温度・状態にあるのかなと。
小麦粉のデンプン粒の状態と一番近いのがコーンスターチであるからだと私は理解しています。(片栗粉は小麦粉とのデンプン粒の違いが大きい)
(お菓子「こつ」の科学 河田昌子著 にあるデンプン粒の特徴より)
↓参考までに、乾燥卵白とコーンスターチの使い方・分量も記載↓
👉乾燥卵白
使う卵白に対し5%程度添加(cotta商品より)・・と書いてありますが、私は140g~160gまでの卵白に2g程度使用しています。
使用方法は、メレンゲ作りに使う砂糖に混ぜ合わせて使います。
ここで注意点!
乾燥卵白の種類にもよると思いますが、乾燥卵白は砂糖とあまり馴染みが良くありません。
乾燥卵白のダマが残ったお砂糖でメレンゲ作りをすると、そのダマは消えません・・・・
スプーンで軽く混ぜておしまい!だなんて横着はしないようにしましょう←経験者です(T_T)
↓小さい泡立て器(私は100均)があると便利!しっかり混ぜ合わせましょう↓
Before
After
👉コーンスターチ
メレンゲ作りに使う砂糖に混ぜて使うもよし、メレンゲ作りの最後に入れる砂糖と同じタイミングで入れるも良しです。
どちらでも作れますが、メレンゲ作りの最後に入れると、メレンゲの状態が一気に変化するのが分かるので、そちらの方がオススメです。
分量は、120g~160gのメレンゲに5g~7g程度です。
私が初めてコーンスターチを使った時、「メレンゲが一瞬でこんなに変わるなんて!!!」と驚愕した事を今でも覚えています。そのくらい夏場のメレンゲにはテキメンに威力を発揮します。
(乾燥卵白の存在を知ってからは、乾燥卵白ばかりになりましたが・・・)
ですが、お使いのレシピによってはコーンスターチを使うと、焼き上がったシフォンケーキにパサツキを感じたりする場合もあるようなので、レシピやご自身の好みと相談しながら取り入れて頂けると良いかなと思います。
次にお砂糖の種類における影響について
これはあくまで、私が個人的に感じた事を前提に・・・(根拠はないです)
体に優しいシフォンケーキを目指し、きび砂糖や素焚糖(すだきとう)・てんさい糖でシフォンケーキを焼いていた時期があるのですが、
そこで実感したのは、使用する砂糖の種類によって、卵白に入れる砂糖のタイミングも変える必要があり、その結果メレンゲの質・仕上がりもかなり変わってしまうという事です。
粒子が粗めのお砂糖の場合、グラニュー糖に比べ卵白に溶け込む時間がかかる為、通常より早めに卵白に投入する必要と、撹拌(ハンドミキサー)のスピードの調整が必要となります。
私はこれに気付くまで、かなりの時間がかかって・・・沢山の腰折れ・コシなしの失敗シフォンを焼いてきました(T_T)
この調整がかなり難しく・・・(しっかり立てても、弱いメレンゲになりがちでした)
私は今、グラニュー糖ばかり使っています。
このような失敗経験から、茶色のお砂糖を使ってメレンゲ作りをする場合は、
『メレンゲが緩くないか』『砂糖がちゃんと溶け込んだ上でメレンゲが仕上がっているか』の2点に気をつけて作る必要があると感じています。
グラニュー糖以外のお砂糖をお使いで、腰折れに悩んでいる方がいたとしたら・・・
卵白に砂糖をいれるタイミングを早め早めにし、メレンゲ作りにかける時間をのばして(グラニュー糖使用時より時間がかかる)しっかり目のメレンゲ作りを意識すると改善されます。
ただし、繰り返しになりますが、この判断はとても難しいです(私にはとても難しかったです。。)
一番簡単な解決法は、上記でも述べた乾燥卵白やコーンスターチを使う事だと感じています。
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水分量やタンパク質量が変化し、安定性が著しく低下した夏場の卵白。
いつものレシピで、普段通りに焼き上げるには、やはりそれなりの対策が必要になります。
夏場に限らず、いつでも安定した美味しいシフォンケーキが焼きたい方や、暑い地域に住んでいるという方は、普段使いされると良いのではないかと思います(*^^*)
(私は毎回乾燥卵白を使っています(^^))
シフォンケーキ腰折れの原因 その2:最終生地の混ぜ不足
卵を泡立てて作るスポンジ系の最終生地は、混ぜすぎるとメレンゲが潰れて生地量が減ってしまう事は、お菓子作りの常識?ですよね(^^)
それと同じ理屈で、混ぜ足りないと生地量は多い状態となります。
混ぜ不足で、最終生地の分量が多くなったシフォンケーキを焼くと、膨らみ方も大きな物となります。
しかし、その膨らみを支える柱(卵黄やグルテン)が足りない為、焼き縮みや腰折れシフォンになってしまいます。
レシピやフレーバーにもよるので、一概には言えないのですが、
腰折れに悩んでいる方は、解決手段の一つとして、最終生地の混ぜ回数を増やすと良いかと思います。
(最終生地の仕上がり目安は、艶が出て、型にたらたらと流し込める流動性の出た状態です。サラサラ状態では混ぜ過ぎ(レシピによるかも。断定ではないです。)なので、そこの見極めを。)
👉参考として、バニラ香るプレーンシフォンケーキの最終生地
シフォンケーキ腰折れの原因 その3:焼き不足/オーブンの温度が低い
こちらにも出てくるオーブンの問題!
生地作りに何の問題がなくても、オーブンの影響から腰折れする場合もあります。
焼き不足。
これはシフォンケーキの焼き上がり目安をしっかり守る事で解消されます。
(MAXに膨らんだ後、その膨らみがある程度しぼんで落ち着き3~5分経過した状態)
生地作りにもメレンゲにも問題がなく、側面に焼き色もついていて、軽い腰折れだけしている場合は、しっかり焼くことで解消される事が多いと思います。
オーブンの温度が低い場合。
型から出したシフォンケーキの側面の焼き色がかなり薄い場合は、オーブンの温度が低い(熱伝導が悪い)事が考えられます。
全体的に薄い焼き色の場合は、予熱温度を上げて焼く。指定の焼成温度より10度高く設定して焼くなど、全体的なオーブンの温度調整が必要になります。
上になっている部分は(割れ目が出来る所)しっかり焼き色がついているのに、側面だけ焼き色が薄い場合は、焼き方を変えるのも手です。
これは天板に乗せて焼いている方に多いと思うので・・
①天板ごと予熱しているか→予熱時に天板を入れてなかった方は天板ごと予熱にかける
②天板を外して直置きや網を置いて焼く→天板ごと予熱しているのに側面の焼き色が薄い場合は、直置きや網に置いて焼く。
の2つの方法を試すと良いかと思います。
何が正解!ではなく、オーブンとの相性があるので、、
お使いのオーブンの癖を掴むまで辛いですが・・・これで解消されると良いなぁと思います。
シフォンケーキ腰折れの原因 その4:水分過多
バナナなどの水分を多く含んだ果物を使った場合に多いです。
その他に、卵白量が多い場合にも起こります。
シフォンケーキは配合のバランスによって仕上がりがかなり変わるお菓子です。
殆どの方が、バナナなどの果物を使う場合に、その食材の分量を計るのに対し、毎回使う卵白量は計っていないという方は少なくないです。
その理由は、レシピに、Mサイズ○個分/Lサイズ○個分 と表示されているから。
指示にしっかり従っているだけで、作り手には何の落ち度もないお話しなのですが・・・
ここが大きな落とし穴になっている事も事実です(T_T)
卵白量は毎回計る事を、強くオススメします!
Mサイズの卵、Lサイズの卵とシンプルに記載されているレシピが多いですが、メーカーや季節によって卵白量は全くと言って良いほど違っています。
Lサイズの卵に、大きめの卵黄が入っていて、卵白量がMサイズ並・それ以下の場合も多々あります。
勿論、逆もしかり(私自身、身を持って経験し実感している事です)
ですので、、繰り返しますが、卵白量は毎回しっかり計る事。
そして成功した時の卵白量を覚えておき、出来るだけその時の分量に近づけて卵を選んで割ると、安定した成功シフォンが焼けるようになります。
(私は、わざとサイズが色々混ざりあった卵を買って、フレーバーなどに合わせて卵白量を自分で調整出来るようにしています。)
シフォンケーキ腰折れの原因 その5:型出しが早い(ちゃんと冷めていない)
ケーキが焼けたらすぐに出したくなります。
底上げしていないかな?失敗していないかな?と気になって、早く型から出したくなるその気持ち!痛いほど、よーーーーーーく分かります。
分かりますが・・・ちゃんと冷めていないと、結局腰折れという失敗に繋がります(泣)
シフォンケーキの型側面を触って「よし!冷めてる!!」って思って出したのに腰折れしたという方がいたとしたら、これからは中筒の中を触って判断して頂きたいと思います。
中筒の中が、型の側面と同じくらい冷めていたら大丈夫です。
解消法は、しっかり冷めるまで少しだけ我慢!!!です(*^^*)
シフォンケーキ腰折れの原因 その6:その他(レシピ)(卵黄生地)
上記に挙げた失敗原因のどれにも当てはまらない場合。
これは<レシピ・型・型外し方法>の相性が複合的に絡んでいる場合です。
シフォンケーキはシンプルな材料である分、その配合も好みも千差万別です。
私の好みのシフォンケーキは、
『ふわふわ・しゅわしゅわ。でも押すと戻ってくる程よい弾力性を兼ね備えたシフォンケーキ』です。
バニラ香るプレーンシフォンケーキも、そのような配合となっているのですが・・・

『ふわしゅわレシピ』+『トール型』+『手外し』が重なると、腰折れする場合があるようです(T_T)
粉量が多く弾力のあるシフォンケーキの場合は、手外しで腰折れする事は少ないですが、
私のプレーンシフォンレシピは、手外しが合わない可能性が高いかも・・・と(><)
(他にもふわしゅわと言われるレシピはそうかも?)
次に卵黄生地の乳化不足から腰折れする場合もあります。
↓卵黄生地の乳化不足が原因の腰折れは、このような太鼓状態の腰折れになります↓
乳化不足の卵黄生地は、焼成中にメレンゲの泡をテキメンに壊していきます。
このような腰折れシフォンは、カット断面のキメも横長に流れていて、コシも弾力も全くないフニャフニャ状態です。
シフォンケーキ腰折れの原因 /解消方法 ~まとめ~
腰折れの主な原因と解消方法を簡潔に!
腰折れの原因1 メレンゲが弱い(夏場の卵など)
解消方法 乾燥卵白(推奨)/コーンスターチを使う
腰折れの原因2 最終生地の混ぜ不足
解消方法 艶と程よく流動性のある最終生地になるまで混ぜる
腰折れの原因3 焼き不足・焼成温度が低い
解消方法 しっかり焼く/温度を上げて焼く
腰折れの原因4 水分過多
解消方法 卵白は毎回計量する/水分量の多い食材には注意
腰折れの原因5 型出しが早い
解消方法 中筒の中を触ってしっかり冷めたかの判断を!
腰折れの原因6 その他(レシピや乳化不足)
解消方法 手外しが向かないレシピは他の外し方をする。卵黄生地はハンドミキサーを使ってしっかり乳化!
いかがでしたか?
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